マドリードを離れ、生活拠点を田舎に移すことにしました。理由はいくつかありますが、ざっくり挙げると日本への本帰国の延期、コロナ禍でのライフスタイルの変化。この国での滞在予定期間がそれほど長くは残ってない今、都会を離れて穏やかな場所で暮らしたい気持ちがふつふつと沸き上がってきたのです。
候補に上がったのは、昨年の夏にホリデーで訪れたアンダルシア地方と、北スペインのアストゥリアス地方。悩んだ結果、私たちが選んだのは後者。私にとっては、訪れたことのない未知の土地です。
カラッとした大地を思い浮かべるスペインですが、アストゥリアス地方は正反対。山脈や森林、牧草地が広がっていて「緑のスペイン」と呼ばれています。海岸線が長く美しいビーチや洞窟も点在していることから「自然の楽園」とも。そんなアストゥリアス地方にフラットビューイングと契約手続きで訪れたのがこの夏唯一の遠出で、ホリデー代わりになりました。
もともと避暑地として人気のアストゥリアス地方ですが、ハイキングやカヌー、ビーチなど自然遊びが満載なことから、コロナ禍でも楽しめるホリデー先として今年の夏は賑わったようです。私たちも空いた時間に車でドライブへ。
ある朝立ち寄ったロス・ピコス・デ・ヨーロッパ国立公園を流れるドブラ川は、透き通るエメラルドグリーン色があまりに神秘的で感動…!
せっかくなので海にも行ってみることに。クエバス・デル・マールというビーチを横目に小道を歩き進めるとさらに別のビーチがあり、移動ルートには放牧地が含まれていて沢山の牛や馬に遭遇。
その横を海水浴のバッグを抱えて歩く人たちの姿がなんとも珍しい光景でした。ここを通り過ぎると見えてくるのが、サンアントニオ・デ・マールというビーチ。
遠目から眺めただけでしたが、今年はビーチに行けないものと諦めていたので気持ちは充分満足。さらに、ビーチのすぐそばには圧倒的な断崖絶壁スポットが。
崖の上に立っている男性と比べると、絶壁の高さは30メートルほどはありそう。付近には自然が造り出したユニークな造形物がもう一つ。
岩と岩の間にできた小さな隙間から海水が勢いよく吹き出してくるのです。
一方、山の方でも放牧されている牛に道端で何度か遭遇。
自由に好きな所を歩き回れるからか、牛たちはかなりリラックスしている様子。
海か山で散々悩んだ結果、私たちが契約したのは山側の小さな町(というか村)にあるフラットで、お隣は教会、ダイニングルームの窓からは放し飼いの牛たちが見える長閑で癒される場所です。フラットに住んでいるのは1階の大家さんと、3階の私たちのみ。建物の入り口は共有ではないため、懸念していたコロナ禍の引っ越し作業もスムーズに行えたことがなによりでした。
ロンドン・ベルリン・マドリードと海外生活を6年経験し、まさか異国の地で田舎暮らしを始めるとは。生まれも育ちもマドリードの夫にとっても初めての経験で不安もありますが、「どうなるか見てみよう」と楽しみな気持ちの方が大きいかもしれません。アストゥリアス、これからどうぞよろしく。