“サステナブルなライフスタイル”をテーマにしたウェブメディア「CLAIrmag」と、当ブログ「oh,nocia」。それぞれの運営者alisa・nociaが毎回一つのテーマをもとに、その時の気分に合わせたモノ・コトを紹介する共同連載シリーズ【ふたりの#KIBUN】がスタート!
こんなご時世だからこそ、大好きな場所に思いを馳せたい。またいつか、と再訪を願って…
alisa「ボルドーの老舗ブラッセリー」
異国を旅していつも深く記憶に残るのは、本で見た名所でも、豪華な食事・ホテルでもなく、何気なく垣間みえた”地元民の日常”だったりします。パリから電車で3時間ほど、ワインの街フランス・ボルドーでそんな何気ない日常に出会える場所が、地元民お馴染みのブラッセリー『Le Café des Arts』。(ブラッセリーとは、食事もアルコールも楽しめるカジュアルなカフェバーのこと。)
ボルドーのメインストリート、サンカトリーヌ通り沿いにあるこの店は、100年近くも前から地元の学生やアーティストたちに親しまれてきた名店。今もコーヒーやビール片手に気兼ねなく友達や家族と集うボルドー民で賑わっています。そんな誰もが気軽に立ち寄れるカジュアルな店でありながら、出てくる料理がかなり本格的なのもCafé des Artsの魅力。フランスのビストロやブラッセリーではよく見かけるような、大衆的なフレンチを肩肘張らずに楽しめます。
そのなかでもCafé des Artsを訪れたらぜひ食べてほしいのが、ここの隠れた逸品「フォアグラのココット」。
フランスの名産、フォアグラときのこが入ったあつあつのエッグココットは、こっくりとしていて濃厚。卵とフォアグラからでるコクもたまりません。ここに、さくっとトーストされたパンを浸して食べるのがまた美味しいのです!
メニューは他にも豊富で、「Menu(ムニュ)」というフランスではよくある前菜・メイン・デザートがセットになったお手頃なメニューをさくっと頼むもよし、ボルドーならではの新鮮な海鮮をチョイスするもよし。食べたいものが多すぎて、一度の食事じゃ物足りないくらいです。
かれこれ最後にCafé des Artsを訪れたのはいつだろう、というくらい昔ですが、お店のサイトをチェックすると今でもフォアグラのココットは健在のよう。フランス・ボルドーの通りに佇む、老舗ブラッセリー。今は何だかいつもに増して遠い場所に感じますが、きっとまた近いうちに味わえることを願って、行きたい店リストに残しています。
nocia「旧東ベルリンのセカンドハンド倉庫」
欲しい服も家具も食器も、SNSでリサーチから購入まで完結する時代の恩恵を享受する一方、情報を受け取りすぎてプロダクトに対する感度が低くなっているような心地悪さを感じることがあります。そんな私がベルリン在住時によく通ったのが、旧東ベルリンに位置するセカンドハンドショップ。
ユーゲントシュティール様式(ドイツのアールヌーヴォー)の装飾が施された「アルトバウ」という歴史あるアパートが多く残るプレンツラウアー・ベルク地区。お洒落なカフェやブティックが建ち並ぶハイセンスなこの街に似つかわしくない倉庫のような店舗には、ヴィンテージ・アンティークものを含むユーズドの家具やインテリア雑貨、食器が山積みになっています。
不要なものを売ったり、寄付したり、ストリートに置いて知らない誰かに譲ったりと、古い物を大切にするドイツだからか、売り物なのかも分からないガラクタのようなものも散乱。でも、そこがまた面白くて。ラフで少々野暮ったい空間だからこそ、感覚を研ぎ澄ませて自分の求めているものを探す楽しさが刺激されます。
気になるものや購入したいものがあれば店員さんを見つけて値段を確認したり、交渉するシステム。といっても、かなりリーズナブルなので身構える必要なし。フラワーベース2点とマグカップ、オブジェの計4点を購入した際はたったの€10でした。この時に連れて帰ったマーブル柄とレオパード柄のフラワーベースは特にお気に入りです。
看板がなく名前も分からない秘密基地のような場所で、“いいね”も“タグ付け”もされていない目の前のアイテムとひたすら向き合う作業。SNS時代にあえて、そのアナログな体験を求めて足を運んでいたのかもしれません。現在も営業しているのか、閉店してしまったのか、次回ベルリンを訪れる際は真っ先に確かめに行かねば!と心に決めています。
前回の連載記事:買ってよかったサステナブルなもの。野菜メッシュバッグ・スポンジワイプ