week14 2021:『私というパズル』『ザ・サーペント』

Image: (c)Netflix

前週に立てた目標通り、月曜の夕方からネトフリ&飲むを実行できたweek14。自分用のメモとして作品の鑑賞記録を残しておきたいと思います。

『私というパズル』

Image: (c)Netflix

ネトフリのマイリストに入れたまま放置していた作品。予告編からヘビーな予感がしていたので、気力があるときに観ると決めていたのだけど、正解だった。

ストーリーは、第一子の誕生を心待ちにしていたマーサ(ヴァネッサ・カービー)が出産直後に子どもを亡くす“喪失”から展開していく。冒頭は緊迫感のある自宅出産シーンの長回しで、不測の事態に戸惑いや不安を露わにしながらも懸命なマーサの姿が生々しく描かれていて、子どもが無事に生まれてきたかのように思えた瞬間は美しく、希望に満ち溢れている。そしてそれが、悲劇とのコントラストにもなる。

悲しみや怒りを発散させる夫、母親像と正義の名目で助産師に責任を負わせようとする母。一方のマーサは感情を仕舞い込んで淡々としている。夫婦の”橋”は崩壊し、マーサは母とも軋轢が生じる。

悲しみとの向き合い方や乗り越え方(あるいは昇華)は人それぞれで、正解がないと理解していても見ていて苦しかった。けれど、これは絶望の物語ではない。そこに救われた。失われた命、夫婦の関係、生命、心情を浮かべるメタファーが所々に散りばめられているのも見応えがあって良かった。

あと、語らずにいられないのが、ヴァネッサ・カービーの好演。出産シーンもそうだけど、感情が読み取れない表情や雰囲気の作り方が至妙だった。こんな演技するんだ!と、衝撃的だったな。

『ザ・サーペント』

Image: (c)Netflix

BBCとNetflixの共同制作ドラマ『ザ・サーペント』。ひっさしぶりに強烈なドラマを観た!観終わってから数日経っているのに余韻が抜けない。むしろ、日を追うごとに頭の中を埋め尽くされる感覚。

この作品は実在する人物、シャルル(チャールズ)・ソブラジを描いたもので、ストーリーは実話に着想を得て作られている。ソブラジは、1970年代にヒッピー・トレイルを訪れるヨーロッパの若者たちを次々と狙って窃盗・連続殺人を繰り返した凶悪犯で、その恐ろしさから「毒ヘビ」の異名を持つ。

ビジネスマンの風貌と巧妙な話術で相手を信用させると、隙を見て薬を盛り、苦しみに悶える相手からパスポートや金品を盗み、証拠隠滅のために殺害。それがソブラジのやり方。ところが、オランダ人カップルの失踪をきっかけに、徐々に疑いの目が向けられる。

作品の冒頭で犠牲者や遺族への配慮として登場人物の名前は一部変更され、セリフや設定は想像上のものとなっていることが伝えられる。とはいえ、ストーリーのベースは実話。ソブラジの残忍さを目の当たりにして、画面の外にいるのに生きた心地がしなかった。犠牲者が体験した恐怖を想像すると胸が詰まる思い。

作中ではソブラジが複雑な家庭環境にあったことや、肌の色で人種差別を受けた過去にも触れられている。そうした部分が、ソブラジの自己顕示欲や自尊心の裏にあるのか?到底理解できないし、理解する気もない。それなのにソブラジという人間について考え続けてしまう。これが単なるフィクションドラマだったらどれだけ良かっただろう…。

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