ティッセンで開催されたジョージア・オキーフの回顧展へ

少し前になりますが、ティッセンで開催されたジョージア・オキーフ(Georgia O’Keeffe)の回顧展へ行ってきました。以前weekly blogでも触れた、このエキシビション。開催されるのを知った時から楽しみにしていたのですが、現在はマドリードから遠く離れた田舎暮らし…。当分は夫の実家に帰省の予定もなく、半分諦めていたんです。ところが、パスポートの更新のため急遽マドリードへ行くことになり、思わぬ形で望みが実現しました。

向こうで過ごしたのは実質2日間。なかなかのハードスケジュールだったのですが、絶好の機会を逃すまい!と、空いた時間に駆け込み訪問。といっても、スペイン国内でオキーフの大々的なエキシビションが開催されるのは初とあって注目度が高く、さらにコロナ禍で美術館は人数制限中。曜日や時間帯によってはチケットが完売していましたが、ギリギリで予約することができてラッキーでした。

内容は、以前触れた通り。

ティッセンの案内によると、今回のエキシビションはオキーフが抽象画の先駆者となった1910年から1920年にかけての作品から、現代アメリカ美術の主要人物の一人として認識されるきっかけとなった花の絵やニューヨークの風景画、ニューメキシコの風景や文化の融合に魅せられて描いた絵まで、オキーフのキャリアを完全に網羅しているとのこと。

念願だったオキーフの回顧展とあって、足を踏み入れた瞬間から溜息の連続。それはそれは夢のような時間でした…!

展示の出発点は、1915年から1920年にかけて制作された初期の作品。燃えるようなオレンジ色のトーンで描かれたテキサスの平野から始まり、ニューヨークの都会的な夜景、巨大な花、ニューメキシコの開放的で乾燥した大地、オキーフを虜にした自宅のドア、というように時系列やスタイルの移り変わりに沿って進んでいきました。

約90点にのぼる作品群は、オキーフの画家としての、そして一人の女性の“人生”そのもの。その時々で起きたモチーフの変化と同じく、ある時は情熱的で力強く、またある時は静寂と孤独を好んだオキーフの、探検と自由に満ちた生涯を反映しています。

ティッセンでの展示は先月終わってしまい、同展は現在パリで開催中。その後はバーゼルへと引き継がれる予定で、旅を愛したオキーフの代わりに、彼女の作品群がヨーロッパを巡っている最中です。

そういえば、せっかくだからとこの日は常設展も足早に回ってきました。オキーフに続いてホッパーやキルヒナーといった好きな画家の作品も鑑賞できて、もう大満足。パスポートの更新が迫ったことに感謝したのは、後にも先にもきっとこの時だけです。



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