首を長くして待っていた『ペーパー・ハウス』のシーズン5をイッキ観してからというもの、これといって気になるドラマに巡り会えず…。沈滞したムードの日常に引き戻されそうになっていた時、たまたま目に留まったサスペンスドラマを観てみたらスリルがやみつきに。それから静かなサスペンス・ミステリードラマブームが続いています。そこで今回は、最近観た中から2作品をレビュー形式でサクッとご紹介します。
『クリックベイト』★★★☆☆
Image: 海外ドラマNAVI
〈ストーリー〉「500万回再生されたら私は死ぬ」「私は女性を虐待した」と書かれたボードを持つ誘拐された男性の動画がSNSにアップされ話題に。男性は、理学療法士のニック・ブルーワー。たまたま動画を目にしたニックの妹ピアが警察に駆け込み、ニックの妻や子どもたちも事態を知ることとなる。その後、ニュースで大々的に報じられると、被害者であるニックついての悪評が次々と取り沙汰され、妻や子どもたちは混乱。ニックの運命、そして彼の本当の素顔とは?――――
〈レビュー〉事件さえもエンタメとして消費されてしまうグロさ、虚像、誹謗中傷、リベンジポルノ。SNSの怖さを見ているようで、表面化した人間の心の闇を見ているのだと気付かされる“今っぽい”ミステリードラマでした。1話ごとに異なるキャラクターの物語を展開しながらニックの事件を掘り下げ、視聴者のミスリードを誘う手法には、まんまと先入観を持たされてしまいます。そして2度、3度と騙されるという。サクサク進むテンポの良さもあって飽きずに完走しましたが、ラストの振り切り方は少々強引だったかも…?
『コラテラル 真実の行方』★★★☆☆
Image: 映画.com
〈ストーリー〉ロンドンでピザの配達人が射殺される事件が発生。当初は無差別な殺人事件と見立てられるも、現場の状況からしてプロの犯行だと判明。担当する刑事グラスピーは事件の裏に黒い影が潜んでいることに気付く。一体誰が、どんな理由でピザの配達人を殺害したのか?――――
Image: 映画.com
Image: 映画.com
〈レビュー〉50分×4本という短い作品ながら難民、薬物、テロ、レイプ、PTSD、LGBTQといった問題にも触れる社会派のサスペンスドラマでした。全体的に湿度が高めで静かに淡々と進んでいく展開は、イギリスのサスペンスドラマっぽい(私は好きです)。様々なテーマに触れているため必然的に登場人物も多くなり、ストーリーが若干散乱気味な印象も受けましたが、最後はうまく集成されていたと思います。そして、キャリー・マリガン!!『17歳の肖像』『わたしを離さないで』の記憶が強く残っている彼女の刑事役、それも元棒高跳び選手で、元教師という変わった経歴をもつ設定。かなり新鮮でしたが、冷静でクールだけど実は熱く人間らしさもあるキャラクターが意外にはまり役。彼女の新境地を見た気がします。