スペインの代表的なチーズ10種

年々チーズ愛が増しています。どうしてあんなに美味しいのでしょうか。現在住んでいる北スペイン・アストゥリアス地方は酪農が盛んなこともあり、国内屈指のチーズ生産地。“幻のブルーチーズ”と言われる「カブラレス」もこの地で作られています。でも正直、移住するまでアストゥリアスどころか、スペインのチーズについてよく知らなかったんですよね。それもそのはずスペインのチーズは、国外輸出量が生産量の約1割。ほとんどが国内で消費されているそう。そういうことか、と聞いて納得です。そんな、日本では馴染みのないスペインのチーズを10種まとめてみました。

スペインを代表するチーズ10種

1. Queso Manchego(ケソ・マンチェゴ)

ラ・マンチャ地方発祥とする羊のミルクを使ったチーズ。演劇小説『ドン・キホーテ』にも登場しており、スペインのもっともメジャーなチーズです。羊のミルク特有のコク、甘みに加えてほのかに辛みが感じられ、香りはふくよか。ナッツや干し草に例えられる複雑な芳香が広がります。

2. San Simón da Costa (サン・シモン・ダ・コスタ)

ガリシア州ルーゴ県のテーラ・チャで生産される、牛のミルクを使ったスモークチーズ。「コーヒー牛乳」に例えられる香ばしい甘みと、円錐状のユニークな形状が特徴です。

3. Cabrales(カブラレス)

アストゥリアス州の村で生産されるブルーチーズ。“幻のブルーチーズ”とも言われています。牛のミルク、または牛、山羊、羊の2~3種類のミルクを混合させて、洞窟の中で自然に青カビをつける伝統的な方法で作られ、ブルーチーズ特有の強い香り、舌の上でピリリとする刺激の強さが特徴。アストゥリアス地方では料理のソースにもよく使われています。

4. Queso de Murcia al Vino(ケソ・デ・ムルシア・アル・ビノ)

ムルシア産の良質な山羊のミルクを使ったチーズ。同じムルシア産の赤ワインで洗いながら熟成させるため、外側が鮮やかな赤紫色に染まっています。まったりクリーミーでほどよい塩気、そしてマイルドな香り。クセの少ない食べやすいチーズです。

5. Torta del Casar(トルタ・デル・カサール)

エストレマドゥーラ地方で作られる、羊のミルクを使ったクリーム状の柔らかいチーズ。アザミから抽出した植物性レンネット(凝固剤)が使われているという、珍しい特徴があります。上面を蓋のようにくり抜いて食べると、こっくり濃厚な味わい。酸味、塩気も効いていて後からほろ苦さも顔を出します。ケーキのような愛らしい姿と相対して個性的なチーズです。

6. Queso de Burgos(ケソ・デ・ブルゴス)

カスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス県を代表する、羊または牛のミルクを使ったフレッシュチーズ。豆腐のような滑らかな舌触り、クセのないミルキーな風味にほんのり感じる塩気が絶妙のさわやかなチーズです。蜂蜜やメンブリージョ(カリンのジャム)、クルミなどをトッピングしてデザート感覚で愉しめます。

7. Queso Idiazábal(ケソ・イディアサバル)

バスク地方、ナバラ地方で作られている、ラチャ種・カランサナ種の羊のミルクを使ったミルク。スモーク、ノンスモークの2タイプあり、後者が主流。味の方は角がないように思いきや、羊のミルク特有の酸味やスパイシーなタッチも感じられます。

8. Mahon(マオン)

地中海に浮かぶメノルカ島の、島内で放牧されている牛のミルクを使ったチーズ。表面はオリーブオイルやパプリカでこすられているため、一般的に濃いオレンジ色をしています。噛みしめるほど広がる心地よい甘み、そして存在感のあるシャープな塩味。この塩味は、牛のエサとなる牧草に含まれている海塩含有量によるものだとか。

9. Tetilla(テティージャ)

ガリシア州の美食を代表する牛のミルクのチーズ。先ほど登場したSan Simón da Costa同様、円錐状のユニークな形状が印象的です。表面は滑らかで黄色みを帯びており、内側は乳白色。食感はむっちり、ねっとり。味は柔らかい見た目そのままミルキーで食べやすいチーズです。

10. Mató(マト)

牛のミルク、あるいはそれ以外のミルクを使って作る、カタルーニャの伝統的なフレッシュチーズ。クリームのような食感とミルキーさが持ち味で、蜂蜜やナッツをトッピングしてデザートとして愉しまれています。



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